第2回肺非結核性抗酸菌の疫学調査に関するQ&A(PDF)はこちら

第2回肺非結核性抗酸菌症の診断基準(PDF)はこちら

アンケート記入方法について

どのように、院内の肺NTM症・結核の症例数を調査したら良いですか?

肺非結核性抗酸菌症に関して

肺非結核性抗酸菌(NTM)症は、「肺非結核性抗酸菌症の診断基準」において、2回以上の異なった喀痰検体での培養陽性を要するため、症例数の把握が困難な場合があります(気管支洗浄液での検体は1回以上の培養陽性となります)。下記に、肺NTM症の症例数を調査する具体的な方法の数例を示しますので、各施設の状況に合わせて、ご参照ください。尚、PCR法や血清補助診断法(抗GPL-core IgA抗体等)のみの陽性例は含みません。

① 菌の検出状況から症例数を調査する場合
  1. ⅰ) 2023年1月1日から2023年12月31日までに提出した検体の内、1回以上NTMが陽性となった症例を抽出する
  2. ⅱ) 抽出した症例の内、2023年1月1日から2023年12月31日に新規に診断された症例をカウントする。

施設内に細菌検査室を有する御施設は施設内の細菌検査室にお問い合わせいただき、細菌検査を外注している御施設は、検査会社へのお問い合わせをご検討ください。

② 病名登録から症例数を調査する場合
  1. ⅰ) 調査対象期間中にA)肺非結核性抗酸菌症 B)肺MAC症 C)肺Mycobacterium kansasii症 D) 肺Mycobacterium abscessus症 等と病名登録された症例を抽出する
  2. ⅱ) 抽出した症例の内、2023年1月1日から2023年12月31日に新規に診断された症例をカウントする。

病名登録日と診断日が必ずしも一致しない御施設は、調査対象期間前後を含めた期間の病名登録された症例の抽出をご検討ください。

③ 医師からの聞き取りにより症例数を調査する場合
  1. ⅰ) 調査対象期間中に肺非結核性抗酸菌症と診断された症例数を御施設内の担当医師から聞き取り調査を行う。
  2. ⅱ) 聞き取り調査した症例を合計する。

症例数の正確な把握に関しては、「① 菌の検出状況から症例数を調査する場合」が最も正確な方法であると考えられますが、各施設の状況に合わせて、症例数の調査方法をご検討ください。

結核に関して

施設内の医事課等の事務に調査対象期間中の「結核発生届」が提出された症例数の問い合わせをご検討ください。事務にご協力いただけない場合は、肺非結核性抗酸菌症と同様の方法をご検討ください。

肺非結核性抗酸菌症の「診断日」は「検体を提出した日」ですか、それとも、「検体の培養結果が返ってきた日」ですか?

肺非結核性抗酸菌症の「診断日」は「検体を提出した日」としてください。

喀痰培養からNTMが1回のみ陽性の症例はどのように扱ったらよいですか?

日本結核病学会・日本呼吸器学会により2008年に発表されている「肺非結核性抗酸菌症の診断基準」に従って診断された症例のみ記入してください。したがって、喀痰培養からNTMが1回のみ陽性の症例は含めないでください。また、PCR法や血清補助診断法(抗GPL-core IgA抗体等)のみの陽性例は含めないでください。

他院で診断されて、当院へ紹介された肺NTM症を症例数に含めるべきですか?

他院で診断された症例は含めないでください(「肺非結核性抗酸菌症の診断基準」の「診断症例に関する取扱い」もご参照ください)。

他院で喀痰培養からNTMが1回目の陽性を確認し、2回目の培養陽性を当院で確認した症例をどのように扱ったらよろしいですか?

貴院で診断された該当症例として扱ってください(「肺非結核性抗酸菌症の診断基準」の「診断症例に関する取扱い」もご参照ください)。

現在、喀痰培養からNTMが1回のみ陽性で、2回目の喀痰検査に関して、培養の検査結果を待っている段階なのですが、症例数に含めるべきですか?

現在の診断基準に従い、該当症例には含めないでください(「肺非結核性抗酸菌症の診断基準」の「診断症例に関する取扱い」もご参照ください)。

当院では、DDH法で、M. abscessusと同定された場合、M. massilienseM. bolletiiの鑑別を行っているのですが、「M. abscessus」の欄にどのように記入したら良いですか?

現時点で、M.massiliense, M.bolletii等の鑑別は一部の医療機関でのみ実施されておりますので、今回のアンケート調査では、DDH法でM. abscessusと同定された件数を「M. abscessus」の欄に記入してください。従って、M. massiliense, M. bolletiiを含む症例数となります。

記入欄にない、他のNTMの菌の名前は記入する必要がありますか?

記入する必要はありません。

播種性NTM症の定義を教えてください。

播種性NTM症は

  1. 血液培養からNTMを認めた症例
  2. 2臓器以上からNTMを認めた症例
  3. 臨床的に播種性NTM症と診断した症例

に該当する症例数をご記入ください。

「3」に関しては、細菌学的診断がなくとも、画像所見や抗菌化学療法が著効するなどの臨床経過から播種性NTM症と診断した症例等を含みます。播種性NTM症の診断に合致するかどうか判断に迷う場合には、問い合わせ窓口( )にご連絡ください。

播種性NTM症に関する二次調査はありますか?

承諾を得られた施設には、播種性NTM症に関する調査研究(二次調査)を依頼することを計画しております。

「新登録結核患者数」に、なぜ、肺結核以外に結核性胸膜炎や粟粒結核等の肺外結核を含めるのですか?

「結核」の診断症例の中には、①結核菌が培養で陽性の「結核」や②培養が陰性でも臨床的に診断した「結核」(胸水中ADAが高値の結核性胸膜炎等)等、様々な症例が包含されます。肺非結核性抗酸菌症の罹患率算定にあたり、資料として活用しやすい「結核発生届」の統計を利用するために、「新登録結核患者数」は「結核発生届」を同期間中に提出した症例数とさせていただきました。

「新登録結核患者数」の中に、潜在性結核感染症(LTBI)は含まれますか?

「新登録結核患者数」の中に、潜在性結核感染症(LTBI)は含まれません。

このアンケートは、病院のどの担当者が記入すればよいですか?医療事務作業補助者が記入してもよいですか?

施設ごとに事情が異なりますので、各施設にお任せいたします。医療事務作業補助者等、医師以外の担当者が記入しても構いません。

本全国調査について

肺NTM症の全国調査に、なぜ、「新登録結核患者数」を記入する必要があるのですか?

「新登録結核患者数」に関しては「結核発生届」による正確な疫学データがあります。肺NTM症の新規診断患者数と「新登録結核患者数」を併記して頂き、両者を比較することで、より正確な肺NTM症の罹患率を推定できると考えております。

今回の全国調査に先立ち、予備調査は行いましたか?

約20施設を対象に、予備調査を行い、いくつかの点を修正させていただき、今回の全国調査を実施いたしております。

このような全国調査は臨床現場に多大な負担をかけ、日常業務に支障を来たします。肺NTM症の罹患率の算出のために、より良い方法はないのですか?

当研究班でも臨床現場への負担は十分に認識しており、より良い調査方法に関して議論を重ねてまいりました。ご周知の通り、肺NTM症の診断には、画像上の変化を加味した臨床的基準に加えて、細菌学的基準の両者が必須であります。日本結核病学会・日本呼吸器学会の診断基準により診断された肺NTM症を正確に把握するためには、現時点において臨床現場における2回以上の培養陽性の確認が罹患率の把握には最も的確であると考えております。そのため、臨床現場にいらっしゃる先生方には大変なご負担を強いることとなりますが、このようなアンケート調査の形式を採用させていただきました。何卒ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

ただし、厚生労働省保険局総務課保険システム高度化推進室への申請により使用が可能な「レセプト情報・特定健診等情報」の利用により、今後、罹患率・有病率を把握できる可能性はあると考えており、今後の検討課題とさせていただきます。

また、ご提案がございましたら、アンケートの自由記入欄にご記入いただければ幸甚です。当研究班でも、皆様より頂戴したご意見に対して、今後、真摯に検討してまいりたいと思います。

この全国調査はどのような病院を対象に行われていますか?

「日本呼吸器学会認定施設」(707施設)、「日本呼吸器学会関連施設」(166施設)及び「日本呼吸器学会特定地域関連施設」(6施設)に送付しています。

この全国調査の結果の妥当性はどのように担保されますか?

肺NTM症は、感染症法によって報告義務のある疾患ではないため、正確な疫学データを取得することは困難です。そのため、①アンケートによる全国調査、②全国の民間企業の検査センターにおけるNTMの検出回数の調査、③全国のレセプトデータからの算出を多面的に組み合わせることによって、より正確な疫学データを算出することを目指しております。

この全国調査結果はいつ、どのような形で発表されますか?

AMED「非結核性抗酸菌症のサーベイランス」研究班の「非結核性抗酸菌症の疫学・診断・治療に関する研究班」のHP(本サイト)や各学術集会(日本呼吸器学会・日本結核病学会・日本感染症学会等)や和文・英文の学術論文にて発表予定です。

この全国調査は、来年度以降も続きますか?

現時点で、来年度以降の計画は予定しておりません。

この全国調査では、有病率は算出されますか?

今回の全国調査からは、「罹患率」を推定することを目指しております。「有病率」の推定は今後の検討課題とさせていただきます。

さらに詳細な調査研究(二次調査)を今後、予定していますか?

承諾を得られた施設には、さらに詳細な調査研究(二次調査)を依頼することを計画しております。

この全国調査に関して、解析施設では倫理委員会への申請を行っていますでしょうか?

慶應義塾大学医学部の倫理委員会で既に承認されております。

全国調査にあたり、自施設で倫理委員会に申請する必要はありませんか?

貴院で倫理委員会に申請する必要はありません。

患者数の申告は、個人情報漏洩になりませんか?

個人情報は含まれないため、該当しません。

この全国調査に関する詳細はどこを参照すればよろしいですか?

AMED「非結核性抗酸菌症のサーベイランス」研究班の「非結核性抗酸菌症の疫学・診断・治療に関する研究班」のHP(本サイト)をご参照下さい。

この全国調査に関する問い合わせ先はどこですか?

AMED「非結核性抗酸菌症のサーベイランス」研究班の「非結核性抗酸菌症の疫学・診断・治療に関する研究班」のHP(本サイト)にあります問い合わせ窓口( )にご連絡ください。

この全国調査に回答した場合、何か謝礼はありますか?

予算の関係上、現時点で謝礼は予定しておりません。ご協力いただいた病院はAMED「非結核性抗酸菌症のサーベイランス」研究班の「非結核性抗酸菌症の疫学・診断・治療に関する研究班」のHP(本サイト)に随時、掲載させていただきます。尚、HPへの病院名掲載をご希望されない場合はアンケート用紙にご記入ください。

このアンケートに回答しなかった場合に、何か不利益はありますか?

ありません。